山田耕筰作曲の応援歌―NHK連続テレビ小説『エール』「紺碧の空」編 第2日
2020年5月19日本日の『エール』は、苦しみながら作曲に取り組む古山裕一(古関裕而)が描かれていました。
冒頭では、慶應義塾の「若き血」やその歌唱指導をした山藤太郎(藤山一郎)も登場しました。
さて、本日の作中、大学当局が古山ではなくすでに早稲田の応援歌を作曲したことのある小山田耕三に、第六応援歌の作曲を依頼すると告げたシーンがありました。それに対して田中団長が「小山田先生の曲は古臭いという評判だ」と反論していました。
史実はどうだったのでしょうか。小山田耕三こと山田耕筰は実際に早稲田大学の第一応援歌(当時)「競技の使命」を作曲しています。当時の登場順に曲を紹介すると、
第一応援歌「競技の使命」曲:山田耕筰 詞:五十嵐力
第二応援歌「ああ若き日の血は踊る」曲:近衛秀麿 詞:三上於菟吉
第三応援歌「天に二つの日あるなし」曲:中山晋平 詞:西條八十
第四応援歌「日輪輝く」曲:草川信 詞:山田千之
第五応援歌「大地を踏みて」曲:草川信 詞:小出正吾
そしてこれに続くのが第六応援歌「紺碧の空」なのです。「天に二つの日あるなし」と「大地を踏みて」は現在でも時折応援に使用しています。山田耕筰作曲の「競技の使命」はこちらのYoutubeを、「天に二つの日あるなし」と「大地を踏みて」は早稲田大学応援部のページを視聴ください。
山田作曲の「競技の使命」は、それまで替え歌ばかりだった早稲田大学の応援歌にとって、初めてとなる早稲田オリジナルの曲でした。以上に挙げた応援歌は、山田耕筰、近衛秀麿、中山晋平と当代きっての作曲家による応援歌でした。しかし、曲が非常にきれいで室内で歌うのには適しているものの、屋外で何万という大人数で歌うのには迫力不足であり、慶應の「若き血」に敵う曲ではありませんでした。そこに登場したのが「紺碧の空」なのです。
このように、当時の時代背景を知ると、ドラマを一層楽しく見ることができるのではないでしょうか。「紺碧の空」の誕生ストーリーを引き続きお楽しみください。
参考:『創部70周年記念早稲田大学応援部史』(早稲田大学応援部創部70周年記念事業実行委員会編,2010年)